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出張支援カフェ「awanova in 相馬」

5月23日〜25日にかけて、支援村のスタッフ3名が福島県相馬市に赴き、出張支援カフェを開きました。
大山・金束にて月に一度開催されているカフェawanova主催の米山美穂と佐久間康栄、「cafe 草so」を営む畑中亨(平塚)は鴨川から持参した手作りのお菓子やコーヒーを被災者の方々にふるまいました。

以下、米山美穂による出張支援カフェ「awanova in 相馬」の報告と写真です。

5月23〜25日、鴨川大山支援村の支援活動として、福島県相馬市へ
出張カフェで行ってきました。

3.11以降、awanovaとして何ができるだろうとずっと考えていました。
4月1日の記事にも書きましたが、

「おいしいもの、愛あるもので、みんなを笑顔にし、つないでいく場」

それがawanovaの役目。
だとしたら、いつも通りのawanovaを届ければいいんじゃない?
被災地へ出向いて行こうか、そんな話をしていた頃……
ちょうど、飯舘村から大山支援村を訪れた酪農家のK夫妻のご紹介で、
相馬市のOさんとご縁ができたのです。

Oさんは、震災前から「おひさまプロジェクト」という地域活性
活動をしていた方。震災後、ご自身が被災者であるにもかかわらず、
避難所への支援をされていて、ちょうど「避難所の人たちがホッと
できるカフェのようなものをやりたい」と考えていたとのこと。
でも、カフェの経験は全くないし、道具もないし、誰かに手伝って
ほしい……と。

それなら、その立ち上げのお手伝いに行こう!と、急遽出発4日前に
ことが決まり、ヤスエ、ミホ、そしていつもawanovaに出店してくれ
ている「cafe 草so」のトオルの3名が、大山支援村カフェチーム
として相馬市に向けて出発しました。

相馬市は福島原発から約40km圏内の地域。
風向きと地形のおかげで、同じ40kmの地域よりもやや放射線量
の値は低めです(ただし、最近相馬市内でも、山側に線量の高い
地域があることがわかってきたそうです)。

しかし、海沿いは、津波で壊滅的な被害を受けた集落があります。
「これでもずいぶん片付いた方なのよ」と地元の人はおっしゃって
いましたが、市内の道路は、ひっきりなしに瓦礫を運ぶトラックや
消防隊、自衛隊の車が行き来していました。
市内にはまだ避難所が8カ所ありました。

カフェの会場となったのは、相馬市役所前にある「割烹まる久」。
創業明治27年の老舗割烹です。
この周辺は海から数キロ離れているので、津波による被害はあり
ませんでした。

まる久さんの建物は、一見何も被害がないように見えますが、
震災で中はぐちゃぐちゃになり、壁もヒビが入り、廊下は段差
ができ、最近になってやっとメニュー限定で営業できるように
なったそうです。

そんなまる久さんのご好意で、広い和室の宴会場を5日間お借りして、
「おひさまcafe」+「awanova in 相馬」が始まりました!

看板はまる久さんのご主人の作。

まる久さんのご主人はアーティストでもあり、相馬の絵葉書や絵地図
を作成し、「町と城と風の会」という相馬の歴史や自然環境保存の
活動もされています。

いつものawanovaと同じように、オーガニックの食材と鴨川産
の果物(柚子や夏みかん)を使ったベジスイーツたちを並べます。

Oさんが「地元のお店もがんばってほしいから」と、相馬の
洋菓子店のショートケーキや、支援物資で届いたというラスク、
みつ豆も一緒に並びました。

ドリンクもスイーツも、避難所にいる被災者の方はすべて無料です。

Oさんから「避難所のような簡易の食器ではなくて、きちんと陶器で出したい」と
うかがっていたので、お皿、カップ、カトラリーは支援村のものを持参しました。

訪れた人がリラックスできるよう、BGMも準備。

さらに、Oさんが、花器にお花を生けると、何もなかった和室が一気になごみの空間に
変身しました。

そして、なにより部屋いっぱいに漂うコーヒーのアロマが、最高の演出!

ドリンク担当のトオルさんが、注文ごとに豆を挽いていれるコーヒーは、
「避難所では飲めてもインスタント。こんなおいしい珈琲は久しぶりだわ」と
大好評でした。
珈琲豆は、awanovaでもおなじみ「藁珈琲洞」のしげちゃん焙煎のものです

堰を切ったように一気に思いを語る方、ただ静かにその時間を
味わう方、仲間と思いっきり大きな声で笑って、おしゃべりに
はなが咲く方々……、それぞれが避難所では持てない、大切な
時間をここで過ごされているのが伝わってきます。

長い避難所生活で、体の不調を訴える人も出てきている人という
ことで、希望者には、ヨーガ療法士が来てくれ、ヨーガを教えて
くれたり、ハンドマッサージをしてくれたり……、Oさん自身
のネットワークで、いろんな方がボランティアで参加し、一緒に
カフェをつくっていきました。

私たちは、立ち上げ準備の半日+2日間お手伝いしましたが
(飯舘に入る途中の支援村スタッフの首藤さん、下郷さんも
後から合流)、カフェはまだあと3日間続くので、支援村から
持参した食器や道具類、日持ちのするお菓子や珈琲豆などを
そのまま寄贈してきました。

Oさんは今回の試みをもとに、今後も定期的にこのような「場」を
作っていきたいと考えているそうです。

Oさんはプロジェクト名と同じく、本当におひさまのような、魅力あふれる
素敵な方でした。一緒にカフェをやらせてもらって、私たちの方が
元気をいただいた気がします。

実は、私たちははじめ、直接避難所をまわることを考えていました。
でも、こちらで実際にカフェをやらせてもらってみて、Oさんが
避難所の外にその「場」をつくった意味がよくわかりました。

窮屈でストレスの多い避難所を、ほんのわずかな時間でも離れて、
ゆったりのんびり、お茶とスイーツを楽しむ時間。
そんなささやかな時間が、避難所で暮らす人たちにとっては、
本当に大切で必要な時だったのです。

私たちも被災者の方といろいろお話をし、来て初めてわかった
ことがたくさんあります。
まだまだ支援が必要なことがいっぱいです。

今回の経験を活かして、これからもawanovaができることを
awanovaらしい方法で続けていけたら、そう思っています。

今回awanovaをカフェチームとして送り出してくれた大山支援村と、
その支援村を支えている大山の地域の方々にも深く感謝いたします。
ありがとうございます。